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ジークは、証拠品である《怪鳥の甲殻》を、《ココット村》の村長に渡した。これで、イャンクックを狩ったのは、3回目である。
ココット村の村長は、以前は「ココットの英雄」と呼ばれていたらしいが、今はただのよぼよぼのじいさんにしか見えなかった。
村長はそれを大切そうにしまうと、「――何か喰うかの?」と話掛けてきた。
「おう」とジークが返すと、村長は「ふぉっふぉっふぉ」と笑いながら酒場の中に入っていった。
酒場――《ハンターズギルド》の中は、昼間だというのに、大勢のハンターたちでにぎわっていた。
村長は、杖をつきながら中央の席に座った。
「ビールといつものやつを」とカウンターに向かって大声で叫んだ。
「は~い」受け付け嬢は、そう返すと、同じことを厨房に叫んだ。
ものの数分でこの店自慢の料理が運ばれてきた。
いつもながらのボリュームに圧倒されながらも、ジークは自分の腹が鳴るのを感じた。
「さあ、食べるがよい」
ビールを飲みながら、村長はいった。
夢中でサンドイッチにかぶり付いた。かむと同時に、じゅわっと肉汁が口の中に広がる。すぐに、特産キノコの独特の風味とレタスのしゃきしゃき感が伝わってきた。
うまい。ジークは、この料理がここで一番のお気に入りだった。
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