第一章.堕落

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       :        : それからどうなったのか、匠はよく覚えていなかった。 少なくとも家に帰れたことは確かだ。 撃たれた信也も自宅で療養中だ。弾丸は信也の横腹を抉るように通り過ぎ、内臓等は損傷しなかったようで、傷が塞がるのを待つだけらしい。 ただ全て信也が自分で言っていただけなので、かなり心配はしている匠だった。 暴力団が関係していることもあり、事件に関する情報提供は少なく匠達が容疑者として捜査線上に挙がることはなかった。 初めての人殺し。 あの瞬間、引き金を引いてから弾丸が男を貫くまでの刹那が何度も夢に出てきた。 忘れられない、いや、忘れてはいけない記憶になると匠は覚悟した。
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