第二章.招待状

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信也の怪我がよくなるまでは『仕事』にはいけないので、暫くの間は百瀬家の収入が断たれる。 だが、鞄に入っていた金額は洒落にならない額だったため、無茶な生活をしなければ四ヶ月は『仕事』に行く必要がなさそうだった。 その間に信也の怪我も治るだろうし、匠も心を落ち着かせるいい機会になると考えた。 「とりあえずご飯食べて。体調悪いなら特に」 今日は日曜日なので、由里には仕事が休みという設定で話してある。だから朝はゆっくりめに起きた。 「ありがとう。ちょっと新聞取ってくるわ」 匠はそう言って居間から出ていった。 匠はいつも通りの週末を過ごすことに、罪悪感と違和感を覚えていた。
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