第一章.堕落

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朝だ。 小鳥の囀りと窓から吹き込むさわやかな風、射し込む日差しが目に染みる…なんてドラマの様な朝ではない。 雨模様の窓の外が、一日の始まりを最悪の気分にさせる。 見なかったことにしよう、そう思い一度開けた目をもう一度閉じようとしたその瞬間、部屋の扉が豪快に開けられた。 「お兄ちゃんいつまで寝てるの!?仕事遅れちゃうよ!」 「…大丈夫、一応目は開いてる」 「準備して遅れないように行ってよ?私もう行くから!」 今が何時なのかは知らないが、あの焦り様からして始業の十分前というところか。
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