300人が本棚に入れています
本棚に追加
**
目が覚めると窓から朝日が差し込んでいた。ふと横を見ると渋やんが綺麗な顔をして気持ちよさそうに眠っていた。
俺と渋やんは昔から知り合いだった。あの青い光は多分、忘れた記憶。
ずっとずっと仲がよかった。なんで、忘れたのかも不思議。
思い出せたのは渋やんとの思い出だけ。‥章が、なにかを知っている。
「ん‥ヤス、起きたん?」
渋やんが目を擦りながら問いかけてきた。
「おん」小さく頷き、抱きつく。"昔"みたいに。
「え、ヤス‥?」
「ねぇ"すばる君"」
渋やんは目を丸くし固まった。"昔の呼び名"で呼んだから、かな。
「‥思い出したん?」「すばる君のことだけ」
渋やんは俺の言葉を聞くと一筋涙を流した。
「なんで、泣く?痛いん?悲しいん?」
"泣く"という感情が分からない。何故、涙は出るの?
「章大と、きっと同じ気持ちやから」
にいっと綺麗に笑うすばる君。‥あぁ、そうなのか。
"泣く"ということは俺の知っている感情以外でも出来るんだね。
「ねぇ、すばる君」
思い出せて、嬉しい。
久しぶりに頬を濡らした。
_
最初のコメントを投稿しよう!