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その日、いつも通り店に出勤して
人の気配に振り向くと
そこにまた彼がいた
「あっ…」
私の働く職場というのは
欲求を体で満たすという
いわゆるソープ店だ
そんな店の前で彼と会ったのだ
「店に用?」
「いや……ただ、散歩してただけなんだ」
クスッ
「こんなネオン街をか?」
スッ…
「もしかして…ヤリたいのか?」
私の質問にただ散歩をしていると答える彼に近づいて彼の首に腕を絡めた
「………やめろ」
そんな私に彼は私の腕を強く掴んで離した
「……自分を大事にしろ」
「ありきたりな台詞(セリフ)だな。……くだらない」
私は力なく俯(うつむ)いた
「………これから仕事だから。またな」
そう言ってその場を離れようとすると
彼は私の腕を掴んで
「行く処(ところ)がなかったら家に来ないか?」
…………そう言った
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