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動けなかった
強く抱き締められて身動きがとれず、悔しくもか弱い乙女のように胸に蹲(うずく)っているしかなかった
「……離……してくれ。息ができない」
「あぁ、悪い」
そう言って彼はようやく私を解放した
スッ…
そして彼は優しく私の頬に触れ
「もう出ていくなんて言わないよな?」
そう聞いた
「………」
俯(うつむ)く私の顔を顎(あご)を掴んで強引に上に向かせて
「答えろ」
再度、答えを求めた
「その質問には頷けない。私を解放してくれ」
「無理だ。交渉決裂だな。お前が出ていかないように見張ることにする」
「!!」
そう言った彼は寝る時意外本当に私から目を離さずに監視し続けた
「……そんなに見られてるとやりづらい」
「お前が逃げるといけないからな」
「………」
そして、私は相変わらず寝つくことができなかった
月を見上げ溜め息をつくのだった
(……なんでこんなことになったんだ)
「ハァ…」
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