記憶

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一つめはチーズケーキだとゆう。初めて口にした甘いとゆう感覚はあまりの感動に涙が止まらなかったとゆう記憶らしい。内容はこうだ。 狭い2DKのアパート。 母親の友人はたびたび家に遊びに来る。その度に二つの部屋のうち奥の部屋に押し込められる少年。 少年はふすまごしから聞こえてくる笑い声や会話をなんとなく聞きながらいつも時を過ごしていた。そんな当たり前の日常だったが、その日は違った。友人は帰り、母親にふすまを開けてもらったその先のテーブルにそれはあった。友人にだされていたのであろうそれは、なぜか丸ごとキレイに存在していた。母親はタバコに火をつけ、一言食っていいよと言った。少年は、とまどいながらもおそるおそるそれを口にはこんだ。こんなに美味い物がこの世にあるんだ。ずっと食べていたい。永遠にこれがなくならなかったらいいのにと本気で思ったとゆう。 その時食べたそれが初めて食べた甘いものだと思うとその男は言った。ちなみにその男は今現在チーズケーキはさほど好きではないらしい。 この時、たまたまチーズケーキが嫌いで食べなかったのか、お腹があまり減っていなくて、手をださなかったのか、理由はさだかではないが、母親の友人が残したチーズケーキ一つが、数少ない幼い頃の記憶としてこの男にはこんなにも痛烈に残っている。
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