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「峰さん。祐一郎さんと一緒に買い出しに行って来てくれませんか?」
「は、?」
「若っ。俺様は一人で行けるぞ!!」
「たくさんだと、祐一郎さん一人じゃ持てないと思って……」
「持ーてーる、若のためなら、俺様はやる!」
あぁ、祐一郎さんが駄々をこねて腕に頭を擦りつけてきちゃった。
でも、祐一郎さん一人に育ち盛りの男5、6人分の食材は流石に重いと思うけども……
困ったなぁ、と思って視線を泳がせば、峰さんが立ち上がった。
「……僕も行く」
「やだ!」
「やだじゃないよ。僕だって、さっき迷惑かけたんだし……買い出しくらいなら、別に行ってあげても良いけど!?」
「え……良いんですか?」
「行く。だから早く、買い出しメモ書いて渡したら!?」
何故か少し怒ってる峰さんに急かされ、慌ててメモを書いて峰さんに渡す。
それを見た峰さんが祐一郎さんを睨みつつ「さっさと行くよ」と言うのに、祐一郎さんはどこか嫌そうに表情を歪めた。
「若に褒められるの、俺様だけで十分なのに……」
「え、えーと……二人で行った方が早いし、早くご飯作れたら……俺、嬉しい…な……なんてー」
「! すぐ行ってすぐ帰ってくるから、待ってろよ、若!!」
俺のフォローもどきに気を良くしてくれたのか、ご機嫌に斎藤さんを振って峰さんと共に出掛けた祐一郎さん。
今日も元気だ。
「あは。何だろうねー、この初めてのお使いを見てる気分ー」
「…………」
確かに、と思った俺は黙ってキッチンの片付けを再開したのだった。
あれから。
一通り片付けが終わったと同時に祐一郎さんと峰さんが無事買い出しして帰ってきたので、そのまま夕飯に取り掛かった。
相変わらず祐一郎さんが手伝ってくれたお陰で、何とか深海さんが帰ってくる前に終わったぁぁあ。
疲れてソファで休もうかと思った時に、玄関から深海さんが帰ってきたので、そのまま迎えに行く。
深海さんを出迎えるのは日課だったり。
確実に最後に帰ってくるからね。
「深海さん、お帰りなさい……って、どうしたんですか。その箱」
「ん、あぁ」
靴を足で脱いでる深海さんの手には白い箱。
それを俺に渡してきた。
「坊主が作る方が美味いかも知れねぇけど……ま、一応、な。誕生日だろ?」
「…………え?」
「プレゼントっつったら、ケーキだろ」
そう言って頭を撫でられる。
え……えぇ!?
深海さん、どうして俺の誕生日知ってるの!?
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