祝われたい5月

19/25
前へ
/236ページ
次へ
兄ちゃんの話を聞いてから、恐る恐る4人の方へ近寄る。 う、深海さん怖い……っ。 「あ、あのー……?」 「てめぇらはアレか? 普段して貰ってる恩義に何も感じねぇのか? 普段から忙しそうにしてる坊主の邪魔して、最低だとか思わねぇのか?」 「て、手伝おうとしてたんだっ」 「邪魔しようとなんて思ってないよ」 「オレはー、生クリーム泡立ててただけだしー」 「口答えすんなや、潰すぞ」 「「「…………」」」 お、恐ろしいことを日常会話に使うとか! 3人の表情が青ざめてくのを見て、もうどうにもなれ!と深海さんの背中に抱き着いた。 「っ、!!」 「「「!」」」 「……チッ」 「ふ、深海さん、ご飯!! 俺の作ったご飯を食べて下さい!!」 「、坊主、おま……っ」 「冷めたら、俺、泣きますからね! めちゃくちゃ泣きますから!!」 もう何か必死に訳のわからないことを口走りながら3人を怒ろうとする深海さんの背中に抱き着いてたら、「わかった、食うから離れろ」と、剥がされる。 「つか、泣かれたら困るからな」 「す、すみません……何か、必死で……もう、怒らないで下さい」 「…………は?」 「確かに、祐一郎さんたちがキッチンを汚した時は物凄く落ち込んだけども、みんな、俺のためだってわかったら、その……嬉しかったし……買い出しとか、何か一生懸命手伝ってくれようとしたの伝わったんで、気持ちを受け取ります。それに、深海さんがケーキくれて、すごく嬉しかったですよ」 「……坊主」 何か照れ臭くなってきて、でも感謝の気持ちを深海さんとみんなに聞こえるように言うと、腰に鋭い衝撃が走った。 「若ぁぁあ!!」 「え、ちょ、ゆ、祐一郎さん!?」 突撃してきたのは祐一郎さんで、そのままぐりぐり腰に頭を押し付けてくる。 「若、すげぇ良い奴!! 俺様、若のこと、好きから更に大好きになった! 若大好き!!」 「え、あ、あの!?」 「オレもー。若葉ちゃんの優しさに胸がキュンってなっちゃったー。だからぎゅー」 「え、え、榎本さん!?」 祐一郎さんの反対側から榎本さんに抱き締められた。 何、この状態!? 「そこまでにしろ、変態が」 混乱してると、兄ちゃんが何の躊躇いも無く榎本さんを蹴り飛ばし、祐一郎さんを引き剥がしてそのまま背負い投げをした。 兄ちゃんは何故かめちゃくちゃ不機嫌になってました。まる。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4741人が本棚に入れています
本棚に追加