祝われたい5月

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今日は峰さんは学校に行くみたいで、制服を着て鞄の中身を確認してる。 「峰さん、体調大丈夫ですか?」 「…………は?」 「え、だって、昨日それで休んだじゃないですか」 「っ……、も、もう大丈夫だから、気にしないでよ!」 あぁ、また怒られた……でも治って良かった。 ホッと息をついてると、峰さんが視線を泳がせる。 「……プレゼント」 「? 何ですか?」 「! だ、だからっ!! 折角だから誕生日プレゼントあげるから、何が良い訳!?」 「え、良いですよ?」 「あげるって言ってるの!」 何故貰う方が怒られてるんだろう……べ、別にもう欲しいものは兄ちゃんとかくれたし……んー……あ。 「あ、じゃあ、名前で呼んで下さい」 「……名前?」 「峰さんに、名字でも呼ばれたことないなぁ……って。一緒に暮らしてるなら、呼んで欲しいなぁとか」 「だって、名字で呼んだら、高柳さんとややこしいじゃない」 「? みんな若葉って呼んでるんで、若葉で良いですよ?」 「…………!?」 え、何だろ、その驚愕の表情は。俺、何かおかしいこと言ったかな? と、不安がってると、峰さんは顔を真っ赤にして靴を履いてから、顔を押さえながら玄関の戸を開けた。 「そ、そそそ、そんな友達っぽい呼び方出来る訳ないじゃないっ。ば、ばかぁぁあ!!!!」 「み、峰さん!?」 何で叫びながら出ていっちゃうんですか!? え!? 俺が悪いの!? とどうしたら良いのかわからず慌ててると、後ろから抱き着かれる。 「若。あいつ、友達いねぇから、名前呼びしたことねぇんだぜ」 「祐一郎さん。でも俺、大概友達でも名字で呼びますけど」 「俺様は名前で呼ばれてるぜ!!」 そうだった。祐一郎さんくらいかな、名前で呼んでるの。 ぎゅうぎゅう抱き着いてくる祐一郎さんをそのままにしてると、祐一郎さんは「あ」と声を上げた。 「でも、おっさんも若のこと、名前で呼んでねぇぞー」 「え、あ、でも……」 夜呼ばれた、と言う前に、祐一郎さんは剥がされ、見上げると深海さんが。 「永沢、朝から何してんだ。……若葉に迷惑かけんな」 「深海さ、」 「お、おっさんが…………!!!?」 首根っこを持たれてる祐一郎さんは驚愕の表情を浮かべながら、深海さんを指差して。 そして慌てて暴れだす祐一郎さん。 「若に加齢臭移るぅぅう!!」 「移るか」 深海さんが拳骨をすると、祐一郎さんが拗ねた。 本当に朝から元気だなぁ。
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