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兄ちゃんに送って貰って但野が来てまたくだらないことを話してると、キャーキャー言う女子に囲まれながら矢越くんが現れた。
だから但野と一緒に目を逸らしてみた。
「それでね、深海さんが名前を呼んでくれたんだ」
「深海さんって、高柳がいつも言ってる見た目絶対ヤバめな人?」
「うん。怖いけど、多分一番優し「若葉! 無視をするな」……ですよねー」
いつの間にか女子バリケードを取っ払った矢越くんが、机を叩いて怒ってる。
但野が嫌そうに表情を歪めたのを視界の端に入れながら、矢越くんに愛想笑いを送った。
「おはよう」
「あ、あぁ。若葉……そ、その、だな」
「うん」
「放課後はひm「あー、高柳。今日俺ん家来いよー。この間言ってたゲーム買ってさ! やりたいって言ってただろ!」、おい」
「え、良いの? じゃあ、今日は遅くなるって、メールしておかなきゃ」
「……え、お、」
「たまには俺と遊ぼうぜ。お母さんするのも良いけど、高校生なんだから」
「お母さんってなんだよ。……あ、矢越くん、何か言いかけてたよね?」
急に誘ってくれた但野に、少なからず嬉しくなりながら携帯を出して、矢越くんが何か言ってたのを思い出してそう聞くと、顔を真っ赤にしてた。
え、どうしたの?
「~~っ、平凡同士、精々同レベルで仲良くしてろ!!」
「え、矢越く、」
矢越くんが何か怒って行ってしまった。
矢越くんの怒るポイントがいつもわからないんだけども。
首を傾げてると、但野が意地悪そうに笑った。
「ふんっ。高柳と遊びたいなら、この俺を越える仲の良さになってみろってんだ」
「え、ごめん。意味わからない」
「ま、不可能ですけどー。俺、仲の良さなら、高柳が世話してる人達に負けない自信あるんだけど、どうなの親友」
「はは…友達と日暮れ荘の人達は別だよ。それに、付き合い長いんだから。ね、親友」
「当然」
但野がニッと笑って髪を掻き混ぜてきたから俺も笑いながら返すと、戻ってきた矢越くんに怒られた。
「……おい、若葉」
「あ、矢越くん。どうし、」
「やる!」
「え、ちょ、矢越くん?」
休み時間に但野がトイレに行くと同時に、矢越くんが鞄から何か出してすぐいなくなってしまった。
置いてかれたのは、矢越くんのサイン付きのプロマイド……ごめん、物凄くいらないんだけども、これどうしたら良いの?
後日聞いたらどうやら誕生日プレゼントだったらしいので、大事に引き出しに入れといた。
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