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兄ちゃんに物凄く注意された翌日、鳥肌が立つのは兄ちゃんの最後の一言を言われなかったとかじゃなくて、きっと夏服になったからだ。
まだ寒いから。うん、きっとそう。
「わっかばちゃーんっ」
「うわっ!?」
洗濯ものを干してたら後ろから抱き締められた。
振り返ろうとすると、榎本さんがご機嫌に俺の肩口に顎を乗せて笑ってる。
「おはよー。今日も可愛いーねー」
「はは…榎本さんは今日もイケメンですねー」
大分榎本さんのスキンシップに慣れてきた俺。
最近、榎本さんにも抱き着かれる。後ろから。
背が高くて良いな。
「若葉ちゃん、今日は学校早く終わるー?」
「んー…いつも通りですけど」
「じゃあー、帰りにいつものスーパーで待ってるからー、一緒に買い物して帰ろーよー」
「良いですよ」
この間から放課後居残りをせずに帰ってくる榎本さんに度々帰りを一緒に帰りたがられ、一緒に買い物をして帰るのが多くなった。
荷物持ってくれるし、何より榎本さんの被害者が減ってきてる、ってこの間学校の先生から電話きたし。
うん、良いことだ。
「んー、若葉ちゃんいー匂いー」
「ちょ、え、榎本さん……っ。洗濯もの干してるんですって」
「夏服って最高だよねー。着衣少ないってサイコーだぁ」
首に口を押し当ててくる榎本さんから離れようと暴れてると、服の中に手を入れられた。
や、こ、これは、セクハラじゃないか!?
「ち、ちょっと榎本さん!?」
「最近ねー、相手見ながらしても物足りなくてー、若葉ちゃんだと思ってするとすごく興奮するんだよー。何でかわからないけどねぇー」
「く、くすぐった……ひっ」
「……可愛いなー。今すぐ抱いちゃっ「天誅!!!!」あいた!」
胸まで伸びた手に撫でられてくすぐったさに逃げようとしてると、いつの間にか後ろにいたらしい峰さんに榎本さんは殴られてた。
怯んだ隙に榎本さんから逃げて洗濯籠を抱き締める。
た、助かった……。
「朝から何してんさ。信じられない。死んでよ」
「むー……何か峰くん見てもムラムラしないなぁ……おかしいなー。若葉ちゃん見たらムラムラするのにー」
「おかしいのは頭でしょ。良いから離れなよね!!」
「えー、やーだー」
「離れろっ」
「……朝から母親取り合う息子か、オメェらは」
揉め出した二人にリビングからそう冷静にツッコミをした深海さんは、お父さんって感じだ。
最近こんなの多いなぁ。
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