〇彼女〇

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俺に笑顔を見せた麗香は何か思いついた顔をした。 そんな顔をすると急にスカートの裾を結びだした。 俺は何をするか分からず麗香をじっと見た。 スカートの裾を結び終わると靴を放り投げるように脱ぎ、靴下もささっと脱ぎ海へ走りだした。 麗香の足が悪かったのに気付き 「麗香!危ないぞ!」 と俺は叫んだ。 麗香は足まで海に浸かると俺の方を向き、 「大丈夫だよ。」 と大声で俺に言った。 「あんまり、遠くに行くなよ。」 俺が麗香に言った。 麗香は俺が言ったことに気付かなかったのが、鼻歌まじりに俺に背を向けもっと深い方へ歩いていく。 遠くで麗香の後ろ姿を見ると、俺は麗香が行方不明になり陸上競技場に居たことを思い出した。 もう、行方不明になってほしくなくなんだか不安に感じた。 「麗香~!」 俺は麗香の名前を叫んだ。 すると麗香は、水辺に映る月を壊しながらくるりと振り返り俺を見た。 「大丈夫。もうどこにも行かないよ。」 麗香は俺の気持ちがわかったのか笑顔で言った。 麗香の足元では、水辺に映る月がゆらゆら揺れていた。 また、俺はそんな麗香に見とれてしまった。 麗香はうれしそうに俺に手を振った。 俺も手を振り返す。 麗香はそんな俺を見てにやりと笑った。 笑ったかと思うと俺に海水をかけてきた。 「のぁっと!」 俺は変な声を出しながら必死で海水から逃げた。 必死で逃げたのだが砂に足元を取られ砂浜に俺は倒れた。 麗香は倒れた俺を見ながら大声で笑った。 「このやろ。」 俺は麗香に仕返しをしようと思い、ズボンの裾を捲り上げて海の中に入った。
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