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景色が変わった。
グニャリと、まるで飴をかき混ぜるように変化していく景色は、次いで標準的なD.E.M.背部に設けられたコックピットを映し出していた。
前面180゚が多面式のスクリーン・モニターであるこの仕様は、《世界警察軍》の受注率トップを占める〈E.E.M.社〉ならではだが、背面のほとんどが死角である事が難点だった。
当然、D.E.M.を用いた戦術も単機による進軍ではなく、2機以上による部隊編成が原則だが、艦隊戦等に置ける大規模作戦では単機による分散型体系の方が戦闘を行いやすく、要するに作戦行動中は常に背後に気を使わねばならないのが、この時代の当然の部隊戦術であった。
ベルファウスト・ボルツァーノ中尉は第九世代D.E.M.〈UNM-567 アウグストゥス〉はコックピットに鎮座して、広大無辺な〈ブレイザブリク〉の青々とした水晶の大地が背後へと流れていくのを見ている。
連邦首都ニューヨークにて、艦隊戦力のほとんどを喪失した特殊作戦群 第壱艦隊は、電光石火の勢いで追撃部隊を退けた反世界連邦勢力に対する再度の追撃作戦を命ぜられていた。
第壱艦隊の面々は絶望した。
このような状態で追撃を行ったところで、いったい何が出来ようか。
ノベンタ・ヴァーテミウス大佐は一向に帰らず、あのシュナイツ・アレイン大尉でさえ軍病院送りになったというのに。
畢竟、大統領府は第壱艦隊に討ち死にを要求しているとしか思えず、増援として寄越された〈アラスカ航空隊〉戦力に対しても両手を挙げて歓迎する事は出来なかった。
艦隊旗艦〈プブリウス・ウェルギリウス〉でさえ、運用可能な人員と戦力は〈ヴァーテミウス小隊〉の3機と他3機。
他の僚艦も変わらず、艦によっては戦力ゼロのものもある。
死人が出ていないだけありがたいと思うだけの志気は今の第壱艦隊にはなく、なるようになれといったヤケクソ的思考が艦隊のD.E.M.パイロット達を呑み込んでいた。
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