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「ま、待てよ! オレは人を殺して、食べなきゃなんねェのか?」
「ええ」
「他に手段は」
「……まあ、妖怪でもいいんですが」
シロガネはオレから少しだけ目を逸らし、思案する仕種をする。
「蜘蛛とか、食べられます?」
「……うげ」
それはそれで辛い。絵的に。
と、冗談ぽく言われたものの、とどのつまりオレは人間を殺して、食べなければ生きられないという。それってつまり、死ぬ……んだよな。
ワガママな気持ちを押さえられずにこうなったのがオレの運の尽きか、本当なら餓死してしまえばいいのかも知れない。人間じゃなくなったらしいオレなんて。
けど、死ぬのは怖いんだ。
「納得がいった顔をしてますので、早速餌場に参りましょうか」
「ちょ、待、シロガネッ」
間髪置かずオレはシロガネに身体を抱えられ、意識を飛ばした。
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