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「…………?」
目が覚めた。まだぼんやりとしてるけど、覚めた。
ひんやりとしてゴツゴツした、人工物特有の無機質な感覚に、オレは軽く吐き気を覚えた。懐かしい、なんとなく嫌いな感覚。無機質ってのは冷たくて、無慈悲な気がした。
「大丈夫か?」
声を掛けられた。シロガネじゃない男の声。誰だ。
男は少し離れたところからオレを見ていた。黒髪は短くさっぱりとして、細めの目は茶色がかった黒。肌色の肌……日本人、でいいんだよな。日本語だし。
「あ、あ」
「そうか。廊下に倒れていてびっくりしたぞ。今日は医務室も休みだし……」
そう言われ、オレはなんとなく自分が置かれた状況を知る。
男はぶつくさと呟きながらも、手元のカメラをいじっている。詳しくねェが、ホームビデオを撮るあんなやつじゃなくて、もっとデカくて、テレビ収録とかに使いそうなやつ。
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