Monochrome

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「俺達が見てる世界は極彩色だ。それが世界なんだろう。けど俺は、レンズを通してまで同じ世界を映したくはない。何と言うか……もっと淡泊な色が本物の世界だと思うんだ。概念みたいな話だからわかりにくいとは思うが」  いやあ、よく喋る。  特徴のない普通の男かと思ったのに、話が肥大化していく。色だの、世界だの、オレには理解できない枠組みが奴の頭にはあるんだろう。それを話したくて仕方なかったみたいだ。  ……友達、いねェのかな。 「聞いてるのか?」  不満げな顔でこっちを見てくる。あんな一方的な話、誰が聞けるか。  とは言えず、適当にごまかす。 「そうだ。あんた、名前は」 「あんた?」  あ、しまった。相手は二十歳くらいの兄さんで、オレは十四だった。慌てて取り繕う。 「あ、済まない。つい……」 「まあいいが、礼儀がなってないと人生辛いぞ」  思わぬ教訓を賜る。
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