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「俺は白樺冬馬(しらかばとうま)。君は?」
「オレ、は」
確か、セーラは名乗っちゃいけないんだよな。かと言ってホシクズなんて自虐的な言葉は名乗れないし……ああ名前って面倒くせェ。
「……星名(セナ)」
「セナか。よろしくな」
我ながら安直な、もじったような、咄嗟にしてはよく出来た名前のような。
中性的な名前がよかった。もし、名前を変えられるなら、オレはそう思っていた。それが、出たのかも知れない。
冬馬が手を差し出す。握手、か。話は長いし自分の考えしか聞かないし、ちょっとウザイ奴だけど、根はいいやつなの、かもな。
オレは、その手を。
どくん。
「……ッ!?」
あ。あ。来た。キタ。痛みが、胸が、熱い。動悸が。激しく。
どくん、どくん、跳ねる度、押さえ付けがたい衝動。
嫌だ。クルナ。お前は、誰だ。でていけ。オレから、
出ていけ!
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