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次に意識を取り戻したとき、そこはカメリアの部屋だった。けむたい匂いが鼻につく。
オレの目覚めを待っていたのは雑用係のシロガネ。出会ったときと変わらない、普通すぎる顔立ち。
「食事はわかってもらえましたか?」
彼にそう言われた瞬間、オレはわずかに腹が膨れていることを知った。食事の満腹感を通り越したあとの、消化作業。
「う……あぁっ!」
オレは部屋を飛び出した。トイレに駆け込む。紫の煙は身体にまだまとわりついていたが、どうでもいい。
咥内に指を突っ込む。吐け、吐け、消化するな、吐け! オレは認めちゃいけないんだ。オレが、人を……冬馬を……!
「……けほっ」
消化はほとんど終わっていて、胃液が垂れるだけだった。
涙が出てきたけど、そんなものより身体に取り込まれてしまっただろう彼を吐き出してしまいたかった。
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