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「あら、お目覚め?」
オレの問いかけは無視されたのか? 女は唇を月みてェに曲げて笑った。やたらと目元に力をいれた化粧はケバい。睫毛が人間のモンじゃないみたいだ。
デカい胸を強調せんばかりに着流した真赤な着物は、でも嫌いじゃない色だった。着てる人はアレだが、いやアレっていう言い方は悪いけど、着物の方が断然綺麗。赤の中に咲いている白椿がまた、映えていた。
そんなオレの無礼な脳内などしるよしもなく、女はあやしげな笑みを浮かべてオレに声をかける。
「もう少し寝ていても良かったのに。よく眠れました?」
「はあ……まあ」
何時間寝てたのか知らないが、適当に流すしかない。
第一、ここはどこか。女は誰か。オレはなんでここにいるのか。聞きたいことばっかりすぎて、また寝るわけにもいかない。
そこで、まあ。話が出来る相手はこの女しかいないみたいだし、彼女に色々聞くしかない、か。
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