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「素敵な女性には、素敵な家庭を築いてほしいの」
彼女は純粋だ。物語の中は彼女の世界。彼女の理想とするものだけが善になる。逆に、彼女に嫌われたものは悪として処断され、無念の最期を遂げる。
純粋すぎて、眩しいエゴだ。
「……なあ、エーミール」
「何かしら、星名ちゃん?」
オレはわかった。何故彼女を殺すか、殺さざるべきか、考えるようシロガネに言われたことを。何故、シロガネが次の餌場にここを選んだのかを。
エゴは、己の中の正義そのものなんだ。
だったらオレも、オレの「正義」を貫こう。オレを正当化するエゴなら、貫いてみせよう。
自分の正義を理解してくれるのは、自分だけだから。
「そろそろ……あんたの本名を聞いてもいいか?」
「イヤだわ、本名だなんて。私はエーミールよ」
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