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同時にオレは感じ取った。今やってきた男にまとわりつく、特有の匂い。カメリアの部屋に充満していた紫煙、あれに似た眉をしかめたくなる感覚。
これがオレに備わっているスキル、のようなものだ。と言ってもカメリアが標的に振り撒いたものらしい。チュートリアル用、ってか。相手もオレもつくづくカメリアの手のひらの上、なんだな。
だが、今そんなことに嫌悪感をいだいても仕方ない。今は踊らされているとしても、いつかは。
そう誓って、改めて三浜渚を見る。
先にいた軽い男よりも背は高い。肩幅も広い。なんというか、バスケ部に所属していそうな体格である。
そんな大男だから、オレは目一杯見上げることになった。首がいたい。
「てか、お前この子どうしたよ」
三浜渚はチャラチャラ男に話しかけていた。
「校門にいたからさ。声かけたんだよ、誰か探してるみたいだったし」
「ふうん」
顎を指をあて、三浜渚は何か思案している様子だった。しかしすぐにオレに視線を向け、問う。
「君、ここに何の用? 誰か探してたの?」
うわ、愛想のない。話し方はフランクなクセに笑顔がねェ。しかも長身の大男だから威圧感が半端じゃない。これならさっきのチャラチャラ男の方が話しやすかったぞ。
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