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「華としての生き方は、おいおい教えていきますわ。その前に、今はあなたに名前をあげましょう」
名前? セーラじゃない名前?
「あなたはもう人間ではないのだから。次にその名を呼ばれたときは、死ぬと思いなさいな」
「……よく、わからない」
「今はそれでもよろしくてよ。ただ、あなたにもいつか本当の名前がつく。華としての名前が。それまでの間、仮の名前をワタクシがつけてあげましょう」
嗚呼。
オレはどうなったんだ。ただ、あのとき、焼ける痛みから逃げたいがために、意識を飛ばして、首を……
誰の首を、絞めたんだっけ。
「普段なら花の名をつけるのですが、あなたは新しい存在だから……」
あのときのことを、曖昧にしか覚えていない。なぜだ? 痛みのせいか? 解放されて気を失ったのか。
「ああ、これにしましょう」
それがオレの、再誕の瞬間。
「ホシクズ。今日からあなたの名前はホシクズです」
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