星の誕生

9/9
前へ
/127ページ
次へ
「華としての生き方は、おいおい教えていきますわ。その前に、今はあなたに名前をあげましょう」  名前? セーラじゃない名前? 「あなたはもう人間ではないのだから。次にその名を呼ばれたときは、死ぬと思いなさいな」 「……よく、わからない」 「今はそれでもよろしくてよ。ただ、あなたにもいつか本当の名前がつく。華としての名前が。それまでの間、仮の名前をワタクシがつけてあげましょう」  嗚呼。  オレはどうなったんだ。ただ、あのとき、焼ける痛みから逃げたいがために、意識を飛ばして、首を……  誰の首を、絞めたんだっけ。 「普段なら花の名をつけるのですが、あなたは新しい存在だから……」  あのときのことを、曖昧にしか覚えていない。なぜだ? 痛みのせいか? 解放されて気を失ったのか。 「ああ、これにしましょう」  それがオレの、再誕の瞬間。 「ホシクズ。今日からあなたの名前はホシクズです」
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加