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風がビュッと一瞬強く吹く。
月(ユエ)はバランスを崩しそうになり、思わず側のフェンスを掴んだ。
ガシャ、とフェンスが小さく音をたてた。
このフェンス脆いな、と思いながら、月はフェンスを掴んだまま、下を見る。
部活帰りの同級生や先輩方が、何か言いながら帰っていく姿が視界に映った。
誰も上など見ない。
というか、誰も見てほしくない。
「……私は、自殺するわけじゃないのよ?」
誰に言うのでもなく、ひとりごちる。
そして、学校指定のスクールバッグから、1枚の紙を取り出した。
月は、それを片手で器用に折って、紙飛行機を作り上げた。
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