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月は、息をふっと吐いた。
そして、右手を大きく振りかぶって……、紙飛行機を投げた。
風に乗り、紙飛行機は、空を舞う。
そして、空に溶けるように、消えた。
見慣れた光景。
今でも、なぜ、紙飛行機が消えるのか、わからない。
『彼』が何者だったのか、それもわからない。
けれど、わからないままで良いと思う。
独りだった自分と語ってくれた。
ただそれだけで、月にとっては十分だった。
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