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「君は神に選ばれた!!」
え・・・?
いきなり・・・?
えらばれたって・・・?
隼人には何がなんだかわからなかった。
前にはとても紳士らしい雰囲気の男が立って、こちらを指差している。
そいつは某紳士服店で買ったような礼服を着、さも紳士らしいビシッとした背筋で、なんだかハンサムなやつだ。
「・・・なんだって?」
隼人はこの流れ的に言うべきせりふを考え抜いた末、言葉として放ってみた。
「いやだから、神戸隼人君、あんたは神に選ばれたんだって。あの方に!!」
もうすこし誠実そうなやつかと思ったが、意外と適当なやつだ。
しかし隼人には選ばれたといっても、何も見当がつかない。
神にえらばれた・・・?
なんだかいいことでもしただろうか・・・
いや、自分の経歴として、人のためになること、さらに自分のためになることも、したためしがない。
何もしなさ過ぎて、ついには神にもお説教をぶちかまされることになったのだろうか?
(まあ、家の母のより生きる気力を失わせる説教はほどではないだろう)
「いや、何がなんだかわかんないし、お前が何でそこまで、紳士きどってんのわかんないし、お前の口調といい、顔といい、むかつくし・・死んでくれない?」
「いいすぎです」
「ごめん」
隼人は調子に乗った。
紳士的なやつに精神的ダメージを与えたようだ。
心で思っていることを口に出すのはまずかったか、と反省しなければならなかった。
「隼人・・・・・・・反省」
隼人の反省タイムが終了すると紳士は少しむっつりした顔で話を再開した。
「・・・ゴホン。あなたは、そう、あれです、ここでいう、まさに、かの有名な、あの、そのですね、そうです!か・・・・・・・・・・・・」
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