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「ピピピピピピピピーーー!!!」
妙にうるさい目覚ましのアラームがなり、隼人は飛び起きた。
「・・・いまの、夢?・・・まぁそりゃそうだよな、あんなやつがいたら見てるだけでとび膝蹴りしたくなるよね。うん」
案の定、夢オチだ。
しかもあいつの前置きが長すぎて何を言ったのかわからないまま終わった。
「最後気になるなぁ・・・。でもどうせ夢だし、わかったっていいことないか。
俺これまでいいことあった経験ないし。泣けてくるよ」
(ダメだ、夢のせいで朝からネガティブパワー全開だ・・・。)
とにかく、それでも飯食って歯磨いて歯を食いしばって、着替えて、今日は何をしようかがんばって考えてみた。
「そうだ京都へいこう・・・じゃなくて散歩でもしよう」
正月に散歩とはなんとも微妙なやつである。
そう、昨日は12月31日だったので当たり前だが今日は1月1日、正月だ。
隼人は初夢によくわからない夢を見てしまったことで、混乱していた。
気を紛らわす為に散歩でもと思ったのだった。
ふと、微妙な散歩をしていると
「あれ・・・あそこにあるのはお金?!」
隼人は歓喜した。
隼人の人生の中で、道端にお金が落ちている、などというプチラッキーなことなどなかったのだ。一度も。
「道端に10円か~、今日はついてるな~♪あの初夢見たおかげなのか?・・・いや、それはないな・・・逆に悪いことしかおきないような気がするなぁ。もしかしてこれが最初で最後のいいことで、後は地獄のような災難が・・・」
「それは言いがかりってやつですぜ、兄貴!」
「うわっ!」
そこには、かの大盗賊のような服装ではあるが、体型的に無理があるだろう、と思わせるやつが立っていた。
「いきなり・・・だれだよ?!(仮装パーティーでもやるのか?)」
「え、さっきあったじゃないでがすか。あっしでがすよ。あっし」
いや、あっしっていわれても、誰だかしらねぇよ・・・と思ったが、よく見ると夢に出てきたクソ紳士であった。
(これは・・・正夢?)
「は・・・?なんで、お、おまえが・・・いや、夢じゃなかったのか?!」
「夢でがす」
「夢かよ」
「あっしは、兄貴の夢に入らせてもらったでがす」
(夢に・・・入る?)
「え・・・?おまえ、どういう・・・」
「あっしは大天使ミカエル。神の使いで、選ばれた兄貴の面倒を見ることになったんでがす」
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