春の夏乃ちゃん

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   「っ……!?」  声にならない声が出る。  同時に、ゆうれい――この4文字が頭を過り、途端に暴れだす心臓、荒くなる息、震える手。ふと視界がぼやけてきて、涙が出ていることに気がつく。ああ、わたし、今すごく怖がってる。こわい。こわい、こわいこわ、……、あれ、もしかして、わたし、しぬのかな。  逃げなきゃ。  そう思い後退った瞬間、ゆっくりと少年が振り向いた。  ――どうかしたの?――  「へっ、」  あれ?案外、優しい声。  それにこの感じ、どこかで……?  
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