春の夏乃ちゃん

3/7
前へ
/12ページ
次へ
   こんなに暖かいのに、変だな。美咲は暑がりだと思っていたのに、わたしはとんだ思い違いをしていたみたい。  「美咲、寒いの?カーデ貸そうか?」  もぞもぞと脱ぐ。せっかくカーデを美咲に手渡そうとしたのに、美咲の言葉は、思いもよらないものだった。  「は?いらないよ、暑いもん。夏乃、アタシが暑がりだって知ってるでしょ?」  なに矛盾ぶっこいてんだ、と思った。たしかにいま、寒いって聞こえたのに。  「でも、いま寒いのにアイス?って言ったじゃん」  変な冗談を言ってるなぁと思い、笑って返した。  「いや、言ってないけど……?」  怪訝そうな顔でこちらを見る美咲。なんか、本気みたい。空耳だったのかな?  「あれぇ?おかしいなぁ。まぁいっか、いこ!ポッピングシャワー食べたい!」  そのときはあまり気にもせず、教室をあとにした。  空耳にしては、妙にハッキリ聞こえたんだけどなぁ……。  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加