幻影の侵略者

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ゆっくりと呼吸を落ち着けて、山の入口に足を踏み入れていく。 ここは、土地の持ち主の関係で住宅街のどまん中に残されたこの街で唯一の小高い丘だ。 ここら辺は平屋が非常に多いので、そんなに高くはないが圧倒的な存在を誇り、山と呼ばれている事が多い。 木々が生い茂り、散策が行えるようになっている。昼間は老人たちの散歩コースとして有名な場所だ。 夜中だし、森の中は非常に暗かった。それでも木々の隙間から照らす月光を頼りに、ゆっくりと足を進めていく。 こんな夜中なんだから懐中電灯くらい持ってくるべきだった。 いや、そもそも普段はこんな場所に絶対来ないのに。 俺は半ばやけくそぎみに、どんどん奥へと足を進めていく。 かぐや姫の翁みたいに、この山の中で沢山の金を発見する事は難しいんだろうか。 そんなどうでも良い事を考えながら歩いていた矢先だった。 視線の先には、僅かな光りが映し出される。
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