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最初に人間の体と認識できなかった原因は、いくつかは首から下がなかった事からだった。首がない状態の人間が逆さの状態で吊るされているんだ。
そして、血液が地面に流れ出ている。
大量殺りく現場。浮かび上がるいくつもの黒いシルエットが、その猟奇的な雰囲気を余計に演出していた。
「ひぃっ」
引きつった声が喉の奥から出る。こんなの偽物に決まっている。
しかし、そう思い込もうとしているが体の震えが止まらなかった。やっと訪れた四月の心地よい風が、真冬のように冷たい。
さらに、目を疑う光景は続く。やっぱりこれは映画の撮影か何かだったんだ。
光りの中心部には、いくつかの影が動いていた。
それは、人の姿をしていない事だけは明らかだった。
見た事もない異形の姿をした影がナニかをしている。
おそらく引きつった声が向こうまで届いたんだろう。
その異形の姿をしたナニかたちは、俺の方をゆっくりと振り返った。
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