29437人が本棚に入れています
本棚に追加
/529ページ
よく考えれば、新撰組の沖田総司とか、牛や馬の被り物をした化け物とか、ありえない事ばかりだ。
そっちを現実と考えている方がどうかしている。
「なんだよっ。映画みたいでけっこう楽しかったのに」
何となく一人でそう呟いてみたけど、あれが楽しい夢だったとは思えない。
これこそが本当に悪夢と言っていいだろう。
「あれ?」
その時、自分の右手の脈の部分に見慣れないものがある事に気が付く。
それは、図柄のような、いや紋章のような物が黒いインキみたいなので書かれている。
なんだ。これ。こんなのいつの間に書いたんだ。
擦ってみても全く薄れる様子がなく、落とすのにはかなり苦労しそうだ。
まさか、どっかでタトゥーを入れたとかないよな……。
ふと時計を見ると、短針は10を指している。
「やっべっ!!!!!!」
完全に遅刻だ。寝坊はあんまりした事がないのに、一体どうなってるんだよ。
俺は慌てて起きて、仕事に行く為の支度を始めた。
そして、いつもと同じ日常が始まる。
最初のコメントを投稿しよう!