幻影の侵略者

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      シブヤ カズヤ 俺の名前は、渋谷 和也。 これと言って、特技は何もない。 あえて言うなら、いわゆる平凡。 平凡らしい平凡が、唯一の自慢だ。 現在、19歳。高校は何とか卒業する事ができたけど、大学に行く事もなく就職する事もなく、バイトで生活を繋いでいる。 何となく登録した派遣会社で、何となく働いていたら毎日が過ぎ去っていくだけになっている。 俺は買ってきた食事を開けながら、リモコンを持ってテレビをつけた。 今、思えば全てはこのリモコンをとってテレビをつけた時からが始まりだったのかもしれない。 あの時、テレビをつけていなかったら、俺の日常は変わらなかったのだろうか。 人生は常に一度限りの選択を繰り返しているわけだから、一つの行動で取り返しがつかない事ばかりなんだけど。 そう……思い出すと全てはこのニュースから始まっていた。 『続いてのニュースは、謎の巨大な穴です』 俺は買ってきたコンビニの弁当を開けながら、テレビ画面を眺めていた。
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