幻影の侵略者

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誰だろう。そう思い、電話の画面を見てみると、友人の古手川仁(コテガワ ジン)からだった。 俺は通話ボタンを押して、スマホを耳に当てた。 「もしもし」 『今、巨大な穴のニュース見てる?』 「ああ。たまたま、俺もニュース見てるよ。池袋西口公園のやつだろ?」 まあ、ニュースを見てなくても、この事件を知っている人はすごく多いと思うけど。 『ああ。それでな、俺たちが通ってた高校の大野って先生がいたの覚えてる?』 「ああ」 大野は高校2年の時の担任だった先生だ。仁は高校時代の同級生。2年の時は同じクラスだった。 何となく大野は印象的な先生だった事を覚えている。 物静かで、何事もただソツなくこなすというイメージが強い人だった。 生徒に対して想いやりがあったというよりは、仕事を淡々とこなしているような。 『実はな、今度あの大野に今回の穴の見解を聞きに行く事になってるんだよ。あいつ物理、化学専門だったしな。和也も一緒に行かないか?』 俺は仁の話しを半分ほど聞きながら、箸でご飯をかきこみテレビ画面を見ていた。
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