幻影の侵略者

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「ああ。別にいいけど」 テレビ画面には、池袋西口公園に空いた穴が映し出されている。 『オッケー。じゃあ、今週中のどこかでは行こうと思ってるからまた連絡するな。3人で行くから』 「3人?」 『ああ。いつものメンバーだよ』 「りょうかーい」 俺は短くそう言うと、スマホを机の上に置いて食い入るようにテレビ画面を見た。 巨大な穴の近くでは、リポーターが立って中継をしている。 周辺はバリケードに囲まれて、警察が何人も立っている状況だった。 『信じられません。現在は警察の手によって封鎖されていますが、いつ、どこで、どのようにしてこの穴ができたのか未だに分かっていないんです』 今度はカメラがスタジオに戻り、博識そうな男が真剣な表情で語り始める。 『これは間違いなく宇宙人の仕業ですよ。爆弾でも隕石でもないんだから、科学で説明のしようがない』 宇宙人ねー。何か非現実的だ。 テレビの向こう側の話だけど。
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