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こっち側では、ただ画面を眺めているだけなんだけど。
仁がこの穴に興味を持つのも当然だろう。アイツ、見た目はけっこうチャラそうなのに、こういうオカルトチックなのが好きだからな。
高校時代は常にトップの成績を誇り、国立の大学に進学して人生は順風満帆。
フリーターの俺とは違って、アイツは色々と楽しい生活を送っているんだろう。
俺は……高校時代に両親を交通事故で失ってからは、時間が止まったままのような気がする。
この穴がテレビに出ていた人が言っていた通り、宇宙人の仕業だったらもうすぐ世界を侵略に来るのだろうか?
それとも、もうすぐ地球は寿命を迎えるとか?
目の前に映る全てが現実。ゲームや映画の話なんて、そうそうに起こるもんじゃない。
俺はカーテンを開けて、ふと窓の外を見た。アパートの2階から見える景色は、何とも言えないほど平凡な夜を演出している。
買った事がないけど、宝くじで6億円とか当たらないかな?
そうすれば、人生が少しは変わるんだろうけど。この暗い景色に大きな灯りを照らせるんじゃないかって。
その時だった。
住宅街の中で堂々と構える小さな山に、信じられないほどの速さで流れ星が落ちていった。
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