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「そんな事ないと思うよ。一人はノアの力をちゃんと覚醒させたんだから」
「覚醒させたと言っても、形にもできない者です。確かに人間にも実力者がいる事は認めますが、あの3人はすぐに死ぬ。指輪だって貴重なんですから。もう少し考えて行動してください」
男の怒りに対し、沖田総司は落ち着いた様子だった。
「ありがとう。夜叉丸(やしゃまる)。でも、大丈夫。彼らはきっと来るよ。この幻影世界にね。そして、きっと僕らの助けになってくれるはず」
「そうですか。私は彼らがすぐに殺される方に何を賭けてもいいですよ」
すると、沖田総司は嬉しそうな顔をして立ち上がり、夜叉丸と呼んだ男の肩を掴んだ。
「分かった。じゃあ、彼らがここに来たら秋醒(アキサメ)のライブチケット取ってよ!」
「え……? あの秋醒のですか? いや、ちょっと。それは。いくら身内と言っても。あの人気具合だと……いや、ちょっと」
空に響く雷鳴が、何故かいっそう大きな音を奏でた。
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