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あの事件から数日が経過した。
未だ頭の中で映像が流れるように残っている出来事の数々。
これまでの価値観を全て覆すかのような体験だった。
ふと、俺は自分の右腕に視線を降ろした。自分の右腕が怪物の腕に変形して暴れた事を思いだす。
そして、自分にしか聞こえてこない謎の関西弁。
異世界なんて本当に存在するのだろうか?
沖田総司と会った事は間違いないのに、あれが現実だったのか認められていない部分もある。
「おーい。和也!行くぞー!」
ベッド近くの窓の外から仁の声がここまで聞こえてくる。2階建てのアパート。2階の一番端の家が俺の住んでいる場所だ。
窓から顔を出して見てみると、既に真文も揃った状態でこっちを見上げていた。
「悪い! 悪い! 今、行くから!」
時計を見ると、待ち合わせの時間から10分が経過している。
俺は、あの銀色に光る指輪と、沖田総司に貰った紙を手にして家を出た。
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