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「うわ~遅刻だ。なんで起こしてくれなかったのカカオ」
私は文句を言いながら髪をポニーテールに結った。
時計をみると8時20分。
デジタルの表示が冷たい目で私を見ている。
30分までに行かないと遅刻だ。
新学期から遅刻なんて亡くなった両親に申し訳がない。
「ちょっとカカオ聞いてるの」
私は唯一の家族である黒猫を見た。
「聞いてるわよ、うるさいわね」
そう言いながらいつの間に用意したのか、皿に入ったミルクをペロペロと舐めている。
「あ~また自分だけズルい」
「あなたは支度しないとダメなんじゃない?それに今更ミルク飲んでも成長しないわよ、その胸は」
私の胸を顎でしゃくる。
「む、胸は今関係ないでしょ。それにこれからよ、これから。私の成長期は」
再び時計に目をやると、25分だホントに遅刻する。
「ほらカカオ行くよ」
ハイハイといって、カカオも腰を上げる。
空になったミルク皿がフワフワと浮かびながらキッチンのシンクに落ちた。
「苺、ご両親に挨拶は」
カカオに言われて両親の写真に手を合わせる。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
両親に挨拶を済ませると、私は靴を履いてホウキを片手に玄関を出た。
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