ケーキバイキングの章・黒猫の口は災いのもと。

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校長がマイクを置く。 今度はパラパラと小雨のような静かな拍手しか起きなかった。 伊集院がステージの脇から号令を掛け、全員がそれに従い立ち上がり頭を下げた。 入学式が終わり、中等部から順番に講堂を出て行く。 私はふと隣にいるタルトに視線を送った。 タルトはぬいぐるみを抱いて俯いている。 タルトの腕と、華奢な身体に不釣り合いな豊かな胸に挟まれて押しつぶされたぬいぐるみが、苦しそうな顔で私を見つめている。 「私達の番のようですね。皆さん、参りましょうか」 マロンが立ち上がり私達もそれにならう。 私はカカオを腕に抱き出口に向かった。 講堂を出る前にステージを見下ろすと、置き忘れられたマイクが何か言いたげに佇んで居るように見えた。 そして入学式から1週間後、エルドラコの復活が事実であると発表された・・・・。
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