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玄関の前でなかなか足にはまらない靴に少しムッとしながら、お母さんに呼び掛ける。
「お母さーん、まだー?」
すると財布と紙を持ったお母さんが向こうからやってきた。
「はい。じゃあ買ってきてね」
「この紙何?」
財布と一緒に渡された紙を見る。
「ああ、それね。智衣が何買うのか忘れないように紙に砂糖って書いといたから」
「ちょっとー!子供じゃないんだからそのくらいわかるよ!」
そう言いながらも紙をポケットにしまう。
「充分子供です!ほら、利玖に気づかれないうちに行きなさい」
「あ、うん。じゃあ行ってくる」
玄関を出た瞬間に湿気に包まれた空気が肌にあたる。
雨が降っていることに気づいたアタシは、玄関を再び開けて傘を取る。
お母さんは少し驚いた顔をして、おかえり。と言った。
そんなお母さんに、じめじめしてると言った後、家を出た。
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