FILE.2 数学記号の暗号 事件編

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明日がリンの小学校の卒業式。 母、緋崎 小夜(ヒサキ サヨ)はリンに正装させている。 (めんどうくさい、英和辞典を読ませてくれ…) そんななか… 「わかんないよー!!」 塾帰りのフウが正装したリンに泣きながら突っ込む。 少し涙で正装の服が汚れる。 「こら!フウ!今忙しいんだから、先にお風呂入ってきなさい!」 「どうしたんだよ…」 「あのね…あのね…数学がわかんないのー!!!」 (なんだそんなことか…) サヨが立ち上がり、フウの頭を撫で、台所に行く 「算数のがよかった、算数のがよかったー!うわーん。」 (うるさいな…あれ?) 母さんがいない… リンはこっそり英和辞典を取り、読みはじめる。 「またそれー!?お兄ぃちゃぁーん!」 「ほら、フウ。卵焼きよ。」 「へ?」 泣くフウも黙る、サヨ特製の卵焼き。しかも焦げ目なし。 「…おいしい…」 「よかった。さぁお風呂入ってらっしゃい。」 「うん。」 バスタオルを持ち、風呂場に走る。 「はい、リン」 (…これは……!?) 「チョコレート、食べていいよ。」 「おぉぉ!」 食いつくリン。 笑顔がこぼれ、頬が落ちる。
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