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恐らく彼女にとっては何気ない一言だったのだろう。しかし京の耳には新鮮な言葉だった。
特別自分だけにかけられた言葉ではない。それは京にも分かっていたから彼女のことなどすでに忘れていた。入学式までは。
「また隣の席だね」
知らずに声をかけていた。驚いたことに彼女は京の事を知っていた。
「バスケしてたら誰でもしってるよ。ヒーローだもんね」
そう言った彼女の、明らかに京との距離を保とうとする態度が少し寂しくて、名札を見て
「京でいいよ、橋本さん」
と少し笑って見せた。
「…あたしも由香でいいよ」
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