春★★ 京

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恐らく彼女にとっては何気ない一言だったのだろう。しかし京の耳には新鮮な言葉だった。 特別自分だけにかけられた言葉ではない。それは京にも分かっていたから彼女のことなどすでに忘れていた。入学式までは。 「また隣の席だね」 知らずに声をかけていた。驚いたことに彼女は京の事を知っていた。 「バスケしてたら誰でもしってるよ。ヒーローだもんね」 そう言った彼女の、明らかに京との距離を保とうとする態度が少し寂しくて、名札を見て 「京でいいよ、橋本さん」 と少し笑って見せた。 「…あたしも由香でいいよ」
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