6人が本棚に入れています
本棚に追加
入学式から数日経ち、新入部員は美月達の他、男子が五人入り廃部を免れた。
豊はずっと続けていたサッカー部に入部したらしい。
ある日、美月とルイが外周を走っているときに豊に声をかけられた。
「よぉ剣道部!!」
「うるさいサッカー部!!」
「美月、高校はいってから冷たてぇなぁ」
「あんたといると彼氏できない」
美月は息を弾ませながら答えた。
「まずは本気で好きになれる奴みつけろよ~♪」
体力も運動神経もある豊は余裕綽々で嫌味を言って美月たちを追い越していった。
「ムカつくやつ!!」
「元気いいな」
いつの間にか隣には生徒代表の広田 京が走っていた。
「げっ広田君!」
「相沢さんだっけ?何部入ったの?」
「剣道部です」
「そうなんだ。俺バスケ部なんだ。どこの部も最初は外周走ってるみたいだね。隣の子も剣道部?」
「うん。私達の隣のクラスのルイっていうの」
「へぇ。よろしく!ま、お互い頑張ろうな!」
そういって京も美月達を追い越して、豊の名を呼びながら走っていった。
「綺麗な子。美月のモロタイプ」
ルイは笑いをこらえながら言った。体力も運動神経もない美月は返事する気にもなれなかった。
…ルイに隠し事なんてできないなぁ
美月は心のなかで呟いた。
好きにならないように。
目で追わないように。
普通の友達になろう。
豊みたいに。
豊は京の前の席だった。
その為昼食を一緒にとったり次第につるむようになっていた。
元々人見知りの豊がこんなに早く友達つくれるなんて、と美月は正直驚いていた。豊に聞くと京は見た目と違い、人慣つっこい性格でいつの間にか仲良しになっていたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!