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「何なの、これ?」
菊を押さえつけたベッドの上で、フェリシアーノはいつにも増して声を抑えて睨みつけた。
暗闇でもわかるほど、くっきりと赤みを帯びた印が、身体のいたる所に付けられている。
白い首筋から脇腹まで点々と続く、誰かの証。
「待ってください、フェリくん!」
フェリシアーノの顔が、一層歪む。
ベッドに縫い付けられた菊は、不安の色を濃くしていた。
「ロマーノ…くん……?」
「何で…」
無性に憤る自分にも、裏切られたように感じた菊の姿にも、頭がうまくついて行かずに言い知れない怒りが込み上げては吐き出せない。
「何でお前まで嘘をつくんだ」
「これは…!!」
真っ白な胸に、彼は爪を立てた。
「……っ」
血の滲む赤い線が、柔らかな肌に痛々しく痕を残す。
「ロ、ロマーノくん…やめ……」
「なんでなんだよ…。何で」
赤く染まった傷跡を、彼の掌が優しく触れる。
チリチリとした痛みが、快感を誘うように襲ってきた。
ひやりと冷たいものが肌に触れる。
見上げると、自分の上に乗り上げる彼が涙をこぼしていた。
「ぐすっ……。菊は、俺のものなのに…」
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