轟きに鳴いた日

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   あるアパートの一室。薄暗い部屋の中、閃光が窓ガラスから突き刺し、暗闇が戻った次の瞬間に雷鳴が鳴る。  今、俺の部屋は嵐の中にある。  吹き荒ぶ風が窓をガタガタと揺らし、吹き付ける雨粒が窓を濡らす。  俺はそんな中でも何とか寝ようと頑張った。耳栓をし、黒いアイマスクまでつけ、布団の中でまぶたを閉じた。  なんだかんだ。後少しで寝れる。意識も揺らぎ、もう一歩のところまで来ていた。  しかし。  アイマスクの隙間から光が漏れたのを感じた後、ゴロゴロ!! という化け物が威嚇の唸り声を上げるように鳴り響く。 「きゃああああっ!!」  轟音後、それ以上の、部屋をつんざくような悲鳴が俺の耳元から吐き出された。 「ひいいいいいっ!」  俺の布団の中でガクガクと震える少女は俺の背中にしがみつく。 「……くっ」  少女のぬくもりや柔らかい感触が俺の脳細胞を覚醒させる。 「ねえ! かみなり!!」 「うるせえ! おめえの悲鳴で寝れねえだろうが!」  俺は叫びながらガバッと上半身だけ起き上がらせ、耳栓を外し、アイマスクを少しずらしてから隣でうずくまる物体を確認する。  幼なじみの悲鳴の前では、耳栓は全くもって意味を成さなかった。 「う、うるさいのはどっちよ!! しょうがないじゃない! 怖いものは怖いんだからぁああああああ!」  悲鳴の正体である俺の幼なじみは、布団の中でそう叫ぶ。彼女は薄暗い部屋の中、顔に長髪がダラッと垂れ下がり、まるでサ〇コのような状態になっていた。  
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