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次の日、嵐も無事去ったのか、窓の揺れもなく、室内も静かになっていた。
俺は少し寝不足気味ではあるが、穏やかな気持ちで朝を迎えてた。
しかし、一難去ってまた一難。
隣には正気を取り戻した幼なじみが、顔を真っ赤にして、なぜかいつの間にか俺の胸の上にいた。
「きゃあああああ!!」
「にゃふ!?」
突然再来した悲鳴と同時に、俺の顔面に拳骨を食らう。
もう少し眠っていたかったところを強制的に起こされ、痛みに耐えながら目を開けると、幼なじみが騎乗位でこちらを睨んでいた。
俺も幼なじみの理不尽な行動を咎める意味を込めて睨み返した。
「何、しやがるッ!」
「顔、近いのよ!」
「は!? それは俺の所為じゃないだろ!? せっかく人が優しく一緒に寝てやったってのに。何で殴られなくちゃいけないんだよ!」
「う、うるさい!」
「ぐはっ!」
またもや顔面にパンチをもらう。これまた理不尽。どうやらいつもの調子を取り戻した様子だった。
だが、俺はそんな幼なじみの態度が頭にきてしまった。
せっかく人が親切心で一晩一緒に寝てやって、ただでさえ寝不足だってのに、俺はそんな思いをぶつけるように心の中で舌打ちをする。
「もう勝手にしろよ!」
俺はそう幼なじみに怒鳴りつけ、俺の身体の上から追い出した。
「きゃ!?」
その幼なじみに背後を向けながら、俺はふて寝に入る。
「…………」
「…………」
部屋の中には静寂の時間が流れた。
「……めん」
そして、しばらくしてから、背後から声にならないようなか細い音で何か話し掛けられた気がする。
最初は気のせいだと思った。だがしかし、それはどうやら気のせいじゃなかったらしい。
「確かに、今のはアタシが悪かったわ。ご、ごめん」
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