雨の運び屋

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  「あ」  俺はある事に気付く。いつの間にか、空は薄暗くなり、夏の風物詩でもあるものが降り注いだ。 「……夕立、でしょうか」 「みたいですね」  突然のスコールが降り出し、俺たちの身体を激しく濡らす。雨粒がどんどん服に染み込んでいく。 「すみませんが、しばらくはあそこで雨宿りしましょう」  急いで自転車を止め、シャッターの降りた店先で雨宿り。シャッターには、『本日休業中』の文字で書かれた張り紙が貼られていた。 「……」 「まだ怒っているんですか?」  ムスッと頬を膨らませる。怒っているのだろうが、あまり凄みを感じさせない。 「当たり前です! もう少しで犯罪者になるところだったんですよ! 公務執行妨害です!」 「というより、もう我々は犯罪者でしょうね」 「う」 「先輩も共犯者でしょう?」 「あなたがさせたんでしょう!」 「あれ、そうでした?」 「もう、知りません!」  あらら。拗ねちゃったよ、この子。まあ、またそこが可愛いんだけどね。 「……」 「お嬢様?」 「ふん!」 「あははは」  さてはて、俺はどうしたいいのやら。  
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