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「わ、わかりましたから」
俺は顔を背けて、あまり見ないようにする。
正直、うん。あれだな。雨の日の女子のYシャツは犯罪ものなのだよ。
「わ、わたしは、わたしが好きなのは、あなた、です!」
「え」
突然の事に、思考が停止する。雨の音声が聞こえてこない。
「いつもありがとうございます。だって、わたし、嬉しいんですよ? いつも送ってもらえて。いつも一緒に、隣にいてもらえて」
「……は?」
マジか。俺のあの苦悩は何だったんだ。
「あの、大丈夫です?」
「大丈夫じゃないですぅ」
「ですぅ?」
「すみません、何でもないです。と、とにかく、その言葉は嘘じゃないですよね?」
「はい」
「偽りはごさいませんか?」
「くどいですよ」
「なら」
俺は一歩踏み込んで、一気に相手の懐との距離を詰めた。
ここから先は、まるで夢のようで夢じゃない。
彼女も最初は戸惑って驚いていた。だが、徐々に受け入れてくれて、求めてくれた。
確かに彼女の温もりが伝わってきて、こんなに柔らかいんだ、と感じていた。
綺麗な桜色の唇。甘味の好きな俺にとっては、正に俺好み、かなり甘かった。
たぶん、結構音も出てた。けど、ご都合な事に雨がかき消してくれる。
恋をして愛し合うってこーいう事、なのか? なんてすごく恥ずかしくなるような事を考えていた。
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